私ども財団法人 日本食品分析センターでは,微生物の学名を調べる同定試験を受託しております。受託可能な同定試験についてご案内いたします。
同定試験の利用目的
製品や原料,製造環境などを対象とした衛生試験において,頻度の如何は別として微生物が検出されるといった経験のある方も多いと思います。微生物を添加している製品であれば当然の話ではありますが,添加していない場合,検出された微生物は「どんな微生物なのか」,「どんな性質か」,「安全か,それとも有害か」といった問題が生じます。
異常品検査においても,微生物の増殖による異常であった場合,その原因菌に対しても同様の問題が生じます。「微生物の同定試験」は,分類学上の名前(学名)を確認し,そこから得られる情報を基に,これらの問題を解決する為の手段として利用できるアイテムとなっています。
一方,有用微生物の特許出願に必要な微生物株の学名及び性状確認の手段,製品に利用した微生物の学名を確認する手段としても,この微生物の同定試験を利用することが出来ます。
対象とする微生物
| 細菌 | (ただし,古細菌,培養が困難な細菌を除く) |
| 真菌: | カビ,酵母(ただし,キノコは対象外) |
試験手法
| 細菌: | 形態観察・性状試験を基にした同定試験 同定キット(APIシリーズ)を用いた試験 DNAを用いた試験(塩基配列の解析) |
| 酵母: | 形態観察・性状試験を基にした同定試験 同定キット(APIシリーズ)を用いた試験 DNAを用いた試験(塩基配列の解析) |
| カビ: | 形態観察を基にした同定試験 DNAを用いた試験(塩基配列の解析) |
その他,同定試験の手法を用いた試験として
| ミクロフローラ 各種寒天培地を用いて微生物を分離した後,検出された微生物について性状試験を行い菌群レベルの同定を行って菌叢を確認する試験
菌群レベルの同定詳細はこちら |
| カビフローラ 属レベルの同定が可能なものはすべて同定しカビに特化してその菌叢を確認する試験。
詳細はこちら |

たとえば,「どんなところから分離されているものか」,「有害なものなのか」,「生育条件」,「耐熱性」などがあります。ただし,これらは必ずしも得られる保証はありません。
近年,新しい種類として提唱・報告されたものや,有害性や有益性が無く,研究対象とされないものは,情報が乏しい傾向にあります。

Q: |
同定試験はなぜ時間がかかるのか? |
| A: | 微生物は化学物質ではなく生物ですので,増殖させるためには時間がかかります。増殖して集落を形成して初めて「純粋である(=1種類となっている)ことが確認できる」,「集落の観察や形態観察ができる」,「性状の確認ができる」ため,まずは培養しなければなりません。 もし,複数の微生物が混ざっていた場合,試験を実施しても結果は出ますが妥当性の無いものとなるだけでなく,通常ではありえない結果となる可能性もあります。また,食中毒菌検査のように特定の微生物を対象としているわけではありませんので,時には試験方法から調査しなければならないこともあります。 |
Q: |
塩基配列の解析は万能? |
| A: | 必ずしもそうではありません。細菌の分類・同定に関してはかなり主流となっており,形態観察や性状試験では同定できないものも存在しています。試験期間も他の試験に比べて短くなる傾向があります。塩基配列の解析を用いた試験では,得られた塩基配列データとデータベースにある配列データとの比較を行う為,該当するものがない又は分子系統関係が近い微生物が存在しないといったことも生じています。 なお,塩基配列の解析で2~3種類の候補に絞れた場合,性状試験を実施することで1種類に絞り込むことができる場合があります。 |
財団法人日本食品分析センターの微生物の同定試験は,菌株から試験を実施するスタイルだけではなく,ご依頼いただいた衛生試験で検出された微生物,落下菌
や空中浮遊菌測定平板培地上の集落,製品・原材料等から分離操作を含めた同定試験,事故品・異常品からの分離・同定といったメニューまで微生物が分離可能
なものであれば様々な状況に対応いたします。
試験内容のご相談,ご不明な点がございましたら,お気軽にお問い合わせ下さりますよう宜しくお願い申し上げます。
| 問い合わせ先 財団法人日本食品分析センター 多摩研究所 微生物研究課 TEL 042-372-6785 FAX 042-372-6786 |